不動産を売却する場合に作成する「不動産売買契約書」には必ず印紙税が必要です。
ですが、不動産売却には経費が諸々掛かることはご存じかもしれませんが、印紙税を具体的に知っている方は少ないのではないでしょうか。
今回は、不動産の売却を考えている方に向けての
- 「そもそも印紙税とは?」
- 「不動産売却で印紙税がかかるものは?」
など疑問に思うことを解説していきます。
印紙税の意味とは?なぜ必要?
印紙税とは、商業取引に関する文書に対して課せられるものです。
印紙税が課せられる文書は「課税文書」と呼び第1号文書~第20号文書まで存在します。
具体的にその課税文書は、
などです。
印紙税の税額は文書によってさまざまで非課税の対象になるものもあります。
印紙税の納税は定められた税額の収入印紙を文書に貼り付け完了します。
収入印紙は郵便局や法務局、印紙売りさばき所で購入することができます。
さらに、200円の収入印紙などよく売れるものは、売りさばき所として登録されているコンビニなどでも購入できるので、大変便利です。
納税対象者は、課税文書を作成した者です。
複数で作成した場合は連帯で印紙代を納付する義務があります。
では、なぜ印紙税がかかるのでしょうか?
商業取引に関する文書に課税される理由は2つ。
- 1つ目は、商業取引で文書を作成すると少なからず利益が発生するため。
- 2つ目は、文書作成により取引の内容が明確化し、取引の安定、信用の裏付けのため納税が課せられるのです。
不動産契約書には印紙税が義務!
不動産の売買契約書の内容は、売買の価格や支払いの時期・方法、所有権の移転時期などの取り決めを明確化したものです。
「宅地建物取引業法」で、書面での交付が義務化されています。
印紙税は売主・買主両方必要?
不動産の売買契約書を売り主側と買い主側の2通作成する場合、双方が課税文書とみなされ、それぞれ印紙税の納税義務が発生します。
ですが、売り主と買い主間で不動産売買契約書を1通のみ作成し、片方は原本を、またもう片方はコピーしたものを控えとして保存する場合は、原本のみが印紙税の納税対象になります。
要するに、収入印紙が必要なのは“原本のみ”なので印紙税の軽減につながります。
ですが、コピーした控えの方も契約者の直筆署名捺印がされた場合、課税の対象となります。
売り主側はコピーした契約書でとくに問題ありませんが、契約の内容を巡った訴訟を起こされたときにリスクを負う可能性もあるので十分確認をしておいてください。
また不動産の売買契約書以外に、関連する契約書として賃貸借契約書、工事請負契約書などがあります。
工事請負契約書とは、土地を購入したあとに新築で建物を建設する場合や、リフォームを見据えた建物を購入した場合に締結するものです。
また、賃貸借契約書は土地部分の賃貸借契約書は印紙税の納税対象となりますが、建物部分の賃貸借契約書は納税の対象になりません。
不課税文書という部類に入るため印紙税に関する取り決めがないのです。
印紙税の軽減税率の適用は?
印紙税の軽減税率の対象になっているのは、契約書に記載されている金額が10万円を超える「不動産売買契約書」と100万円を超える「建設工事請負契約書」です。
それ以外は印紙税の軽減対象に入っていません。
例外に双方の記載金額が1万円未満の場合は課税の対象外となります。
そして、不動産の売買契約書とその他の印紙税の納税対象となる契約が並べられている場合、そちらの契約も印紙税の軽減税率の対象となります。
ですが、建物の設計や家具製作・修理などは建設工事ではないでの、印紙税軽減措置の対象外となります。
気になる軽減税率ですが、契約書に記載されている金額によって変動します。不動産売買契約書の場合10万以上1億円以下、工事請負契約書では100万円以上1億円以下だと50%の軽減措置が受けられます。
双方1億円以上5億円以下なら40%、5億円を超える金額の場合は20%の軽減措置が取られます。
印紙税を払わなかったら罰則はあるの?
印紙税の納税を怠った場合、“過怠税”という罰則が発生します。
収入印紙が貼付されていれていても、適切な消印がなされていなかった場合も過怠税の対象です。
印紙税を払わなかったら、3倍返しだ!
課税の文書に収入印紙の貼付を怠った場合、過怠税は本来納税されるべき印紙税の2倍金額になります。
納税しなかった印税と併せると、元の3倍の金額になりますね。
ただし、税務調査が行われる前に収入印紙を貼っていないことを税務署に申し出ると、過怠税は本来納税すべき印紙税の1.1倍に軽減されます。
また、適切な消印をされていない収入印紙の過怠税は納税すべき印紙税と同じ金額になります。
きちんと確認し、規定の収入印紙を貼るようにしましょう。
印紙税を払わなかったら罰則がある|まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は印紙税を払わなかったら罰則があるのか?ということと印紙税の意味やなぜ必要なのかについてご紹介しました。
不動産の売却時には数多くの納税義務が発生します。
納税や不動産売却時などはプロに相談し、適切に進行するようにしましょう。
普段あまり気にすることがない「収入印紙」ですが、正しく理解ししっかりと納税してくださいね。
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